2020 年 76 巻 2 号 p. 63-71
地域間および産業部門間の相互作用を,強固な経済理論を基礎として明示的にモデル化した空間的応用一般均衡(SCGE)モデルは,政策評価の包括的分析手法として土木計画学分野において精力的に発展を続けてきた.交通社会基盤政策や災害の経済被害の空間的波及への関心が高いこともあり,CGE分析を扱う経済学諸分野と比べて土木計画学では,地域間の輸送を介した空間的相互作用の表現方法を工夫する“Spatial”なモデル化に関する研究蓄積が多い.本稿では,『土木計画学における空間的応用一般均衡分析–現在の到達点–』の特集にあたり,土木計画学におけるSCGE研究発展の歴史と成果を振り返り,現在の研究フロンティアにおける各論文の位置付けと特徴を概説し,加えて今後も取り組みが必要な課題と研究展望についても言及する.