2020 年 76 巻 2 号 p. 72-90
応用一般均衡モデルは,交通インフラ整備による貨物輸送費削減の経済効果を分析する際の手段として広く利用されている.応用一般均衡モデルをこのような政策評価に利用する際には,入手可能なデータが限られる中で,貨物輸送費をどのようにモデル化すべきかが問題となる.本研究では,代表的な輸送費モデルとして,1) 氷塊輸送モデルと 2) 輸送部門モデルの2つを取り上げる.本研究は,各モデルの仮定が輸送費削減の経済効果の分析結果にもたらすバイアスの性質を,解析的な分析と数値的な分析を用いて明らかにする.さらに,バイアスを軽減するための,適切な輸送費のモデル化や分析手法について考察する.