2021 年 76 巻 5 号 p. I_1263-I_1272
無信号横断歩道における歩行者事故対策として,二段階横断施設の活用が進められているが,欧米諸国と比べると設置数は少なく,利用実態に関する研究の蓄積は十分とは言えない.本研究では,5か所の二段階横断施設において外部観測調査を行い,車両挙動と横断者挙動について分析を行った.その結果,横断者の待機位置が歩道端より交通島の方が車両の譲り挙動が発生しやすいことが明らかとなった.さらに,施設の設置箇所に着目すると,駅前に設置されている二段階横断施設では,車両の譲り挙動が発生しやすい一方で,自動車交通量が多く,かつ車両速度が高い場合には,車両の譲り挙動が発生しにくいことが明らかとなった.また,駅前に設置されている直線型の二段階横断施設では,横断者の安全確認が不十分で,危険な交錯が存在する可能性が示唆された.