2021 年 76 巻 5 号 p. I_127-I_139
本研究では,高速道路情報板の故障による利用者の経済損失を考慮して維持管理施策の評価を行うための簡易的方法論を提案した.情報板のような交通補助施設に対しては,ある程度の件数の故障を許容しながら維持管理を行うことが現実的であり,そのためには故障時の利用者の経済損失を適切に評価する必要がある.本研究では,点検データに基づき情報板の故障過程を推定するとともに,情報板の故障により非効率的な経路選択がなされると仮定し,利用者の経済損失をデータから簡易的に評価した.その上で,維持管理費用と利用者の経済損失によりライフサイクル費用を定義し,情報板の維持管理施策を評価した.それらの結果から,情報板周辺の交通条件ごとの利用者の経済損失が定量化され,更新費用単価に応じて予防保全施策が有用となる可能性が示唆された.