2021 年 76 巻 5 号 p. I_515-I_522
本研究は,わが国の港湾において地域活性化に資する港湾空間の再編成が求められる中,港の既存ストックである上屋や倉庫を有効活用した「倉庫リノベーション」による再編成手法の構築を目的としている.そこで,本稿では港湾空間における倉庫活用の全国的な傾向とその整備実態を把握するため,港を核とした地域活性化策であり既設の港湾施設等を活用する「みなとオアシス」に着目し,登録港湾106港を対象に資料調査および国土交通省への聞き取り調査を行った.その結果より,港湾の重要度を示す「港格」ごとに「みなとオアシス」の登録傾向と倉庫活用の実態を明らかにするとともに,中でも遊休倉庫の利活用が顕著にみられた大分港の遊休倉庫の活用実態を論考することで,「倉庫リノベーション」の整備プロセスとその留意点を明らかにするものである.