2021 年 76 巻 5 号 p. I_569-I_588
本研究では,まちづくりに関わる人材育成の取り組みとして,愛媛県松山市の「松山アーバンデザインスクール」を取り上げ,本プログラムの受講者の観点から,まちづくりの学習過程とそこで形成されるまちづくり主体としての担い手像を明らかにすることを目的とする.この目的の下,受講者の学習経験を調査し,グラウンデッド・セオリー・アプローチに基づいて,まちづくり活動の実践に向けてその目的・方法・地域ニーズとの間で逡巡する過程を中心とする学習プロセスモデルを作成した.その上で,本プログラムを通じて形成される担い手像として,受講者の自由記述から8つのタイプを抽出すると共に,学習プロセスモデルにおける学習経験との関連性を検証した.最後に,本研究の知見がまちづくり人材育成のあり方に示唆する点について考察した.