2021 年 76 巻 5 号 p. I_739-I_746
本研究では近年普及が進む SAE レベル 1 の自動運転技術である ACC (Adaptive Cruise Control) に着目し,ACC 機能使用時と非使用時で運転にどのような変化が生じるか,心電図データや視線データをもとに把握を試みた.ドライビングシミュレータを用いた実験の結果,ACC 機能使用時には運転中のわき見が増加したほか,リラックス度を示す生理指標が増加した.一方で眠気の主観評価値は ACC 機能使用の有無で差は認められなかった.ヒアリングデータに着目すると,ACC 機能使用時には時間経過に伴い周辺車両に対する注意の発話が有意に減少した.このことから,ドライバーが眠気の症状を訴えていない場合であっても,わき見の増加や周辺への注意が低下し注意散漫状態を誘発するリスクがあることを示唆する結果が得られた.