2022 年 77 巻 5 号 p. I_1057-I_1066
駅などの施設内の通路では,通行や滞留など,様々な機能を必要とする歩行者が混在している.しかし,既存の通行機能評価指標では滞留者との混在が考慮できていない.本研究は,滞留者が通行機能の主観的評価へ与える影響を明らかにすることを目的とする.滞留者の存在する通路を移動するCG映像を被験者に見せ,その歩きやすさを評価させるアンケート調査を実施した.データ分析の結果,歩きやすさの主観的評価は歩行者周辺の歩行者密度と滞留者密度,壁からの距離,横移動回数により説明されることが示された.また,モデルを交通シミュレーションや実空間映像へ適用することで,実用性を検討した.その結果,歩行者密度の小さい範囲の評価にとどまるものの,歩きやすさの主観評価の傾向を表現できることが確認できた.