2022 年 77 巻 5 号 p. I_193-I_202
水道インフラの老朽化が進み,特に人口減少と高齢化が進む過疎地域での小規模水道の維持管理が課題となっている.今のところ,都市域の水道ネットワークである集中型水供給システムを広域化することによる対応が検討されているものの,多大な時間と費用のかかることが問題とされる.一方,近年の技術開発によって小規模で独立的な分散型水供給システムによる給水も可能になりつつある.そこで,そのいずれが効率的かを判断するため,将来人口予測結果から給水区別の水需要量を推計した上で,それぞれの水供給システムを導入する場合の費用負担分析を行った.その結果,集中型は管路整備に多大な費用負担が生じること,分散型では現在の上水道と同水準の費用負担に抑えるとした場合の施設整備に充当可能な費用の目安を示すことができた.