2022 年 77 巻 5 号 p. I_225-I_241
交通インフラ投資と税率変動についての一体的な将来予測を可能とし,かつより正確な税収評価が可能なモデルを構築すべく,交通インフラの整備によってもたらされる効果を総合的に評価できるモデルシステムであるMasRACを改善した.税率を外生的に操作可能とするため,消費税,法人税,所得税の基幹3税を内生化し,それらの経済・財政への波及経路を構築した.また,構築したモデルを用いて,消費税率,法人税率を外生的に操作した際の主要変数の挙動を確認し,消費に対する影響を考察した.その結果,消費税の減税は消費の増加を強く促し,法人税の増税は消費税と比較して劣るものの,消費の増加に波及する可能性が示唆された.