土木学会論文集D3(土木計画学)
Online ISSN : 2185-6540
ISSN-L : 2185-6540
土木計画学研究・論文集 第39巻(特集)
昭和 8 年三陸津波後の津波対策予算化の影響要因
西脇 千瀬奥村 誠平野 勝也
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2022 年 77 巻 5 号 p. I_359-I_373

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抄録

昭和 8(1933)年の三陸津波後,国や研究者から現代の考え方と共通するような,複数の対策を組み合わせた総合的な津波対策の提案がなされた.そのうち最も推奨された住宅の高台移転は,被災後間もなく多くの地域で実施されたのに対して,その他の対策は予算化までに時間がかかり,限定的な実施にとどまった.本研究では,地元新聞記事,宮城県及び国の公文書等を用いて,高台移転とそれ以外の対策が予算化される経緯を追い,時間や実施範囲に差異が生じた原因を検討した.その結果,津波対策の予算化には,被災以前からの検討,効果の実証,地域振興という3点が影響を与えていたことを明らかにした.

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© 2022 公益社団法人 土木学会
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