2022 年 77 巻 5 号 p. I_711-I_719
パリ協定を契機に設定された部門別の温室効果ガスの削減目標に対し,運輸部門ではより一層の交通環境負荷の低減を進めることが不可欠である.そこで,電気自動車(EV),次世代型路面電車システム(LRT),自動運転車(AV)など低炭素な次世代交通を導入することで,交通環境負荷を削減する試みが注目されている.本研究では,低炭素な交通機関に着目して,交通量,EV 普及率,電源構成比の観点から,実際の交通流の想定下で次世代交通機関が及ぼす環境改善効果を定量的に評価した.さらに,宇都宮市を対象に,テレワーク等による交通行動の変化を位置情報ビッグデータを用いて織り込んだ上で,交通環境負荷を算出し,テレワークが普及した 2050 年時には現状の半分程度まで削減可能であることを明らかにした.