2022 年 77 巻 5 号 p. I_735-I_744
近年,都市部における新たな交通手段として国内外の多くの都市でシェアサイクルの導入が進んでいる.シェアサイクルは一般的には採算性が高いとはいえず,国内においては 6 割を超える都市で行政による支援が行われている.しかし,このような支援の妥当性を評価するための事業評価を行っている都市は 4 割に満たない.そのため,本研究では,国内外の 3 都市のシェアサイクル事業評価の事例比較を通じて,行政担当者によるシェアサイクル事業の適切な評価を行うための知見を得ることを目的とする.その結果,国外の都市では KPI が設定され,KPI の目標の達成状況を評価している一方,国内の都市では KPI は設定されておらず,オペレーターによる自己評価にとどまっているなど,評価方法に違いがあることが明らかになった.