2022 年 77 巻 5 号 p. I_745-I_755
中山間地域では,路線バスからタクシーへの転換を模索する自治体が増えている.しかし,タクシー事業は人口減少に伴う顧客の減少に加えて運転手が不足する事態に直面しているため,タクシー事業で地域の需要を満たしうるかは大きな懸念である.このため,タクシー事業の供給能力を客観的に把握することができれば,転換の可能性を検討する上で有効である.そこで本研究では,中山間地域の特性を踏まえてタクシーの供給能力を分析するための方法論を構築する.その際,少ない運転手で供給能力を維持するには,顧客が予約をする際に配車時刻を調整することが有効であるとの認識のもと,その調整を考慮しうる数理計画モデルを混合整数計画法に基づいて開発し,その効果を実証する.