2022 年 77 巻 5 号 p. I_845-I_855
過疎地域で生活交通施策を進める上で,各地域の特性に応じた外出ニーズを把握することが重要である.特に,国土の約 61.1%を占め,国内人口の 22.8%が在住している積雪寒冷地では,降雪によって夏期冬期の生活環境が大きく変わるため,夏期冬期のギャップに応じて適切な対策を講じることが重要である.本研究は,北海道の農村集落在住の高齢者を対象に,夏期冬期の環境の変化が外出及びその移動に対してどのような影響を与えているかを明らかにした.その結果,降雪によって,外出先までの往復時間が長くなること,冬期は運転したくないという考えを抱えながら車を運転している実態があること,外出回数そのものが減ることが分かった.さらに,公共交通の利用を促すための改善点を明らかにした.