2022 年 78 巻 4 号 p. 190-209
クラウドソース配送(CSD)とは,個人ドライバーが予定していたトリップと同時に配送を行う宅配システムであり,配送コストを大幅に削減できるポテンシャルがある.しかし,CSDを効率的に実施するためには配送者と荷主を適切にマッチングしなければならず,これは(i)配送者/荷主の受取意思額/支払意思額が私的情報であり,(ii)マッチング決定問題が大規模であるため,困難である.本研究では,これらの課題を解決するために,マッチング決定問題を二段階の階層的問題に分割する.この分解により,下位問題はオークションで解けるようになるため(i)が解決される.さらに,上位問題をランダム効用理論に基づき連続近似することで(ii)が解決される.数値実験により,提案手法がマッチングの計算効率を大幅に改善することが示された.