2022 年 78 巻 6 号 p. II_285-II_301
土木計画や公共政策には,言論の自由が保障された条件の下で弁証法的議論が繰り返される必要があるが,これらを侵害する恐れのある社会心理現象を指す概念に「ポリティカル・コレクトネス(PC)」が挙げられる.本研究ではPCを「“原則的には必ずしも正しくはないが,時世上は正当である”と社会的に認識されている,他人に押し付けることを前提として用いられる価値規準」と定義し,その基本的特徴を把握するためのアンケート調査を実施した.分析の結果,「自分の価値規準を持ちつつも抽象的な論理や理屈に固執せず,謙虚であるような態度」を持つことがPC度の低減につながる可能性が示唆され,その方策として事実情報提供法やコミュニケーション法といった心理的方略が有効であることが示唆された.