2023 年 79 巻 17 号 論文ID: 23-17050
都市部の津波浸水計算においては,建物の影響は粗度等を与えることで間接的に考慮することが多い.しかし,任意の地点において津波到達時間や流速の時間変化を正確に把握するためには,建物を陽に考慮した計算が必要である.そこで本研究では,国土交通省の3D都市モデルPLATEAUを用いて建物を陽に考慮した高解像度津波浸水計算を大阪府を対象に行い,建物考慮による最大浸水真や津波到達時間の変化について検討した.結果,建物ありの計算では,浸水領域全体のうち45.5%の格子点で最大浸水深の上昇が見られた.また,津波到達時間は,建物考慮により計算領域全体の53.1%の格子で早くなった.これらの傾向は特に沿岸域や川の近くで顕著であったが,これは,建物がない格子点に越流流量が集中したためであると考えられる.