2023 年 79 巻 17 号 論文ID: 23-17068
近年,海岸保全計画を考えるうえで気候変動による外力変化を見込むことが重要となってきている.台風を要因とした気候変動の外力変化量の推定手法が確立されつつある一方で,石川海岸のように高波浪や高潮の発生要因が低気圧の場合の推定手法は確立されていない.そこで,既往の潮位や波浪の観測データを用いて,最新データまで延伸した場合の長期的な外力変化量を整理した.
さらに,簡易的に波浪や潮位偏差を再現可能な推定式を重回帰分析により構築し,地球温暖化対策に資するアンサンブル気候予測データベース(d4PDF)を入力条件に将来外力量を推定した.本手法では,重回帰分析により将来外力を推定するため,スーパーコンピューター等の高性能な計算資源を必要としない.そのため,本手法は観測データが存在する様々な地点への適用可能性がある.