2023 年 79 巻 17 号 論文ID: 23-17074
鳥取県中部を流下する北条川流域の治水安全度向上のために建設された北条川放水路は,平常時の流量が小さく,放水路河口では砂州の形成により頻繁に河口閉塞が生じる.そのため,浸水被害の懸念など地域住民の大きな不安の種となっており,現在は重機等を用いて人工的に砂州の開削を行っている.本研究は,より効率的な砂州開削手法として,分水堰倒伏による放水路内の河道貯留量増加で河口砂州をフラッシュする方法について,その実現可能性を現地調査と数値モデルにより詳細に検討した.数値モデルによる解析から,灌漑期の平常時流量0.3m3/sであっても,初期の砂州高と河口水位の差が小さければ,分水堰倒伏によって数時間程度の比較的短時間で砂州のフラッシュが実現可能であることを明らかにした.