2023 年 79 巻 17 号 論文ID: 23-17085
本研究は,大規模な海岸砂丘周辺の風況と飛砂の特徴を風観測,地形調査,飛砂計測によって把握し,沿岸漂砂が卓越する海岸において土砂収支を考える上で無視できないと思われる陸上部分の砂移動を明らかにするために実施したものである.まず,砂丘が発達する冬季の砂丘周辺の風況を得るために,砂丘周辺に風速計を設置して数日間の観測を行った.また,砂浜および砂丘上にサンドトラップを設置して飛砂の空間的分布の把握を試みた.次に,砂丘領域を3つの区間に分割し,数年にわたる砂丘の地形変化を比較することで,砂丘の発達状況を把握した.また,計測した飛砂量から求めた土砂フラックスを砂丘の地形変化と比較することで,砂丘領域における土砂収支と地形変化の関係について考察した.砂丘の地形変化には沿岸方向より岸沖方向の飛砂フラックスの寄与が大きいことなどを明らかにした.