2023 年 79 巻 17 号 論文ID: 23-17092
北海道南部の沿岸道路における非越波条件の高波浪時に護岸擁壁背後法面で発生する陥没型被災に関して,移動床水理模型実験を実施した.対策工として提案する護岸擁壁背後の透水層の有無による現況及び対策断面の2ケースにおいて,地下水位及び間隙水圧を計測した.その結果,波浪作用による砂層内への遡上水浸透により,その浸透水が擁壁背後付近に貯留されることで地下水位勾配が反転し,陥没型被災を誘発することが示唆された.対策工として埋設された透水層により浸透水の貯留は抑制され,地下水位勾配の反転が遅延し,陥没型被災を抑制した.また,数値解析により実験の再現性及びモデルの妥当性を検証し,陥没型被災を誘発する地下水位勾配反転現象とその遅延現象を確認した.