2023 年 79 巻 18 号 論文ID: 23-18045
本研究の背景は磯焼け対策と木材加工の際に発生する切削くず(木粉)の有効利用である.磯焼け対策,つまり藻場造成は漁業資源の回復だけでなく,ブルーカーボン生態系の創出という観点からも重要な社会的テーマである.このような背景のもと,著者らは酵母を使って発酵させた木粉(以下,発酵木粉)を含有したコンクリートによる藻場造成ブロックの開発を試みており,本論では実験室レベルで基礎的な実験を行った.主な実験内容として,発酵木粉を含有したモルタル供試体の施工性と強度,そして一つの供試体に含まれる酵母数と栄養塩の量を調べた.実験結果より,発酵木粉の体積含有率の最大値は概ね15%と考えられ,今後コンクリートでブロックを作製する際の基礎的なデータを得ることができた.