2023 年 79 巻 18 号 論文ID: 23-18057
2021年のスエズ運河閉塞に加え,海上輸送システムへのサイバー攻撃等,近年の国際海上輸送を取り巻く環境は一層不確実な様相を呈してきている.東京湾中央航路は,湾内各港への玄関口として首都圏を中心に企業の生産活動や国民生活を広範に支えており,仮に航路が途絶するような事態に至れば我が国経済・社会への深刻な影響は免れられない.
本研究では,コンテナ・ユニットロード貨物を対象に,東京湾中央航路が閉塞した際の代替輸送経路別貨物量及び輸送コスト増加額を推定した.その結果,航路閉塞時には,関東地方発着の外貿コンテナの約7割以上で利用港湾の変更が必要となる他,仙台塩釜港や伊勢湾港等でも能力限界までコンテナを受け入れる必要があり,輸送コストの増加額は約29.3億円/日,増加率は約32%となることが明らかとなった.