2023 年 79 巻 18 号 論文ID: 23-18080
本研究では,沿岸部の砂丘背後に設置された防潮壁を対象に津波が小型船舶を漂流させる挙動と,その漂流船舶による防潮壁への衝突力を検討する1/100縮尺の水理模型実験を実施した.その結果,船舶の初期位置(汀線からの距離)と砕波位置の比で表される無次元初期位置が0.6より小さくなると,船舶が防潮壁に衝突する可能性が大きくなることを確認した.船舶の防潮壁への衝突力は防潮壁前面に発生する波のせり上がりによって低減される傾向があり,防潮壁前面に砂丘等の構造物が存在する場合,船舶の漂流速度と津波および船舶がそれぞれ防潮壁に到達する時間の差を考慮すれば,跳ね返す水塊による衝突力の減衰効果を概ね評価できることが判明した.