2023 年 79 巻 18 号 論文ID: 23-18092
黒い津波のように底質を巻き込むことが津波の遡上・打ち上げ・波圧・波力に与える影響を検討するため,底質の有無以外の点で同一条件となるように,底質を入れていない清水状態の水と底質としてカオリンを予め混合させて濁水状態とした水をゲート急開により開放して段波状の津波を発生させる水理実験を実施した.その結果,カオリンを混合させた場合には津波の遡上が局所的に早くなる可能性があることが判明した.鉛直壁に作用するサージフロント波圧による極大波圧は平均的には清水時よりもカオリン混合時の方が小さくなったが,底面近傍ではばらつきが大きくなり,カオリンの濃度が高い場合には大きな波圧が生じる可能性があることが判明した.持続波圧による最大波圧は,カオリンによる流体の見かけの密度の増加と比例して大きくなることが判明した.