2023 年 79 巻 18 号 論文ID: 23-18183
砂浜における波の遡上を調べることは,砂浜の保全に加えて,護岸等の海岸保全施設の機能評価や背後地の防災の観点からも重要である.波の遡上については,これまで水理模型実験や数値モデル,現地観測等により研究されてきたが,現地海岸での波の遡上高の経時変化を撮影画像から数値化した調査手法はこれまでに行われていない.本研究では,福井県若狭和田海岸で撮影された2021年1月1日~12月31日の画像データを用いて,画像解析により波の遡上を数値化し,最大遡上高の時間的変化を調べる手法を検討した.射影変換後の画像から目視と画像解析による最大遡上高の推定を比較した結果,本手法は2m程度の波高が作用した場合は水平方向で誤差0.49m,鉛直方向で0.04m,3m程度の波高の場合はそれぞれ0.20m,0.02mの精度で適用できることが示された.