2023 年 79 巻 18 号 論文ID: 23-18191
モルディブ南部に襲来する遠方からのうねりはリーフ上で長周期波を発達させ,突発的に遡上高を増大させる.先行研究により南極付近からインド洋内を赤道域付近まで伝わるうねりの存在が指摘されている.本研究ではモルディブ南部に遡上高増大をもたらすうねりの発生域特定や発達過程解明,伝播経路推定および予測可能性を検討した.
ERA5再解析データを使用し,モルディブ南端の対象地点(OS)で設定したうねり到達指標とインド洋内のうねり有義波高の相互相関関数を計算した.OSに遡上高増大をもたらすうねりは,アフリカ南東部からマダガスカル島南東部にかけて発達する傾向にあった.伝播経路上に設定した線分でエネルギーフラックスを計算したところ,相関値の高い相互相関関数を得た.エネルギーフラックスの増大に伴う遡上高増大の予測可能性が示された.