2023 年 79 巻 19 号 論文ID: 23-19004
送電用シールドトンネルのうち,湾岸部に建設されたものでは,既に塩害による鉄筋腐食が発生した事例があり,中には一般的な塩害予測手法による予測結果よりも早期に鉄筋が腐食した事例もあった.したがって,送電用シールドトンネルの劣化の予防保全対策を計画的に実施していくには,塩害発生を正確に予測する手法が必要である.送電用シールドトンネルでは,内部の気温が比較的高く,漏水の蒸発により塩分が濃縮される特徴がある.この特徴を考慮すると,トンネル内部のコンクリート表面の塩分濃度は一定ではなく,時間の経過に伴って上昇する可能性が考えられる.本論文では,送電用シールドトンネルの表面の塩分濃度の調査および分析を行い,塩分濃度が上昇する場合の上昇速度の推定式,塩害発生の予測手法を提案し,実用化への考察を行った.