2023 年 79 巻 20 号 論文ID: 23-20042
自然災害が激甚化・高頻度化する中,我が国の物流の一翼を担う鉄道貨物輸送の安定性や持続性の維持・向上を目的とした災害対策は,貨物鉄道事業にとってだけではなく社会的にも実施する意義が大きい.一方で,その実施には多くの費用や時間が必要となるため,関係者全体にとってメリットのある災害対策を実施するには,様々な視点からの評価が必要と言える.本研究では,既往研究においてあまり考慮されていなかった貨物鉄道事業者にとっての便益や負担を指標として,災害対策の実施効果を定量的に評価可能な手法を構築した.そして,構築した手法を用いたケーススタディとして,日本各地の主要貨物駅間でトラック代行輸送を強化する場合を対象にした実施効果を評価し,その結果から,貨物鉄道事業者の視点において妥当な評価ができることを示した.