2023 年 79 巻 23 号 論文ID: 23-23168
地盤リスクの発現による建設コストの増加は依然として多発しており,地盤技術者による地盤リスクマネジメントの必要性が指摘されている一方,地盤技術者の技術力にはさらなる活用の余地が残されている.
本研究では,協力ゲーム理論の一理論であるシャープレイ値により地盤リスクマネジメントの効果を定量化し,マネジメント効果が高い工事事例を分析することで,特に効果が高い工事として大規模地すべりリスクを有する工事が挙げられることを示した.さらに,欧米等で用いられる受発注者間の地盤リスク分担の手法であるGeotechnical Baseline Report(GBR)を契約理論により定式化することで,大規模地すべりリスクを有する工事での地盤リスク分担手法として,地すべりの前兆となる変状発生後のGBRの設定が有効である可能性を示した.