土木学会論文集
Online ISSN : 2436-6021
特集号(環境工学)論文
水道原水とMBR槽内水から回収したバイオポリマーの膜ファウリングポテンシャルの比較
水落 望乃香山本 祐士朗小野 順也羽深 昭木村 克輝
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2023 年 79 巻 25 号 論文ID: 23-25007

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抄録

 膜ろ過を用いた浄水処理・下水処理において,高分子量親水性有機物であるバイオポリマー画分が膜ファウリングの発生に強く関与することが示されている.これまでに浄水処理と下水処理におけるバイオポリマーの詳細な比較は行われておらず,その違いはほとんど明らかになっていない.本研究では異なる時期に水道原水とMBR槽内水からバイオポリマーを回収・精製し,それぞれのバイオポリマー試料の膜ファウリングポテンシャルと物理・化学的特性の差異を検討した.MBR槽内水から回収したバイオポリマーの膜ファウリングポテンシャルは明らかに水道原水中バイオポリマーのそれよりも高かった.QCM分析によるバイオポリマー試料と膜材質との親和性評価結果は膜ファウリングポテンシャルの大小と非常によく一致し,膜ファウリングポテンシャルが膜材質との親和性に大きく影響されることが示された.LC-OCD/UVD/OND分析とFT-IR分析により,本研究で検討した二種類のバイオポリマーには明確な差異があることが明らかになった.MBR槽内水中バイオポリマーにはアミノ糖やリポ多糖様成分が含まれており,このことが膜ファウリングポテンシャルの上昇に関係していた可能性がある.

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