2023 年 79 巻 25 号 論文ID: 23-25040
福岡市西部水処理センターでの下水処理の季節別管理運転時の放流水によるノリへの効果を把握するため,水質やノリの色調・成分を調査し,これらの関連性を解析して,放流水の効果を考察した.ノリの品質を指標するL*値は窒素・リン含有量と有意な相関があり,各含有量が5,0.2wt%-dry以上で,品質は上等と評価されると推定された.ノリに必要なPO4-Pの定量化に課題が残ったが,福岡県がノリの生育に必要としている0.0124mg/Lより低くても,ノリの生育や品質を保証できる濃度であることが示唆された.下水放流水によって放流口近傍の場所でノリの色落ち時期の遅延や品質低下の緩和が生じ,その効果は西側の漁場で生じやすいことがわかり,季節別管理運転によるPO4-P供給量増加がその一助となっていると推察された.