2023 年 79 巻 25 号 論文ID: 23-25045
CARD-FISH法とFACSを併用した,プラスミドDNA由来の薬剤耐性遺伝子と細菌種を結びつける,培養非依存的な薬剤耐性菌の網羅的な解析技術の開発を試みた.大腸菌E. coli菌体とpCR2.1 TOPOプラスミドベクターを使用し,Class A βラクタマーゼTEM-1遺伝子を標的としたモデル実験を行った結果,TEM-1遺伝子を保有するE. coli菌体の蛍光検出が可能であった.活性汚泥試料に本手法を適用し,リアルタイムPCR法による遺伝子定量を行った結果,フローサイトメトリーによるソート前と比較してTEM-1遺伝子が6.2倍〜45.3倍に濃縮され,本手法の有効性が確認できた.さらに,ソート後のサンプルでは,Bacilli綱やNegativicutes綱,Othersなどの割合が増加していたことから,これらが活性汚泥における主要なTEM-1遺伝子保有耐性菌であることが示唆された.