2023 年 79 巻 28 号 論文ID: 22-28001
木材のヤング係数は,木材が外力を受けたときの変形のしにくさを評価する指標であるとともに,木材の強度を非破壊的に精度良く区分できる.また,供用中の状態で木材や木質構造部材のヤング係数が測定できれば,躯体を解体したり部材を回収したりすることなく,外力を受けた時の変形量や耐力を推定できる可能性がある.しかし,実際に打設した木杭のヤング係数を片持ち梁条件で評価すると,理論値と実測値との差が顕著で,その測定方法も実際の現場に適用するには,簡素化と効率化が必要である.そこで,建設現場で打設した木杭のヤング係数を評価する技術を開発するため,既往の手法と比較して簡素化と効率化に資することを目的とし,土中に材長の一部を打設した状態の木杭のヤング係数を測定する方法を検討した結果,傾斜計の測定は既報の手法と同程度の精度を有しており有効であることが分かった.