2023 年 79 巻 5 号 論文ID: 22-00136
本研究では,鋼トラス橋の斜材や弦材に適用されている溶接箱形断面に着目し,溶接近傍の腐食が圧縮耐荷力低下に及ぼす影響の検討と,炭素繊維シート接着による圧縮耐荷力回復を目的とし,局部座屈先行の短柱と全体座屈先行の長柱を用いて圧縮試験を行った.その結果,溶接近傍の腐食であっても溶接ビードが残っていれば耐荷力は大きく低下しないものの,溶接切れを起こした場合は著しく耐荷力低下を起こすことが明らかとなった.しかし,溶接近傍の腐食および溶接切れを起こした場合であっても,軸方向に炭素繊維シート,周方向にアラミド繊維シートを貼り付けることにより,健全時に近い耐荷力まで回復することができた.また,溶接近傍の減厚や溶接切れ,補修後の耐荷力の評価方法について検討を行った.