2023 年 79 巻 7 号 論文ID: 22-00311
日本の近代港湾史における先駆的な事例である三国港突堤は,設計者であるEscherの図面が未発見であったことから,設計内容に関する詳細は不明だとされてきた.本稿では,Escherの設計図面を発見し,彼の設計を引き継いで事業を実施したDe Rijkeと古市公威の図面を含めた複数の一次史料を分析することで,設計内容の変遷および建設経緯の詳細を明らかにした.EscherとDe Rijkeによって設計・施工が先導された三国港突堤の建設事業は,明治13年の開港式時点で導流堤として十分に機能していた一方で,防波堤としては十分ではなかった.そのため,大波や暴風による被害を完全に防ぐことはできておらず,古市公威が設計に修正を加えたことで防波堤としての機能が補完され,完成に至っていたことが明らかとなった.