2023 年 79 巻 8 号 論文ID: 23-00020
微生物の代謝反応によって誘発されて析出する炭酸塩鉱物は,離散状態にある土粒子を結合し,土の強度や剛性を高める.微生物を実環境に添加する際には,周辺生態系への影響を考慮すれば,土着の微生物を利用することが好ましい.しかしながら,地盤固化に有用な土着微生物を微生物資源としてストックするための研究はあまり進んでいない現状がある.本研究では,この技術の沖縄地域での適用を指向し,当該地域の沿岸域における有用微生物を同定し,その菌叢を明らかにするために16S rRNA遺伝子解析を行った.分析の結果,試料を採取したすべての地点で有用微生物の存在が確認されたものの,固化の程度は採取地に依存することが明らかとなった.また,分子系統樹解析の結果から,地盤固化に有用な微生物は比較的近縁なDNA配列を有することが分かった.