2023 年 79 巻 8 号 論文ID: 23-00032
港湾においてエネルギー消費の大きな割合を占めるリーファーコンテナ(RC)の省エネ・脱炭素化対策に関する実証研究は少なく,研究と応用のギャップが港湾の意思決定者の課題となっている.本稿では,博多港のRCエリアに設置されたルーフシェードの設置効果を評価するシミュレーションモデルにより省エネ効果を推計し,その結果を用いて経済的効果を評価するとともに,他地域への適用の可能性について評価した.気象庁データを用いることで季節別,地域別の省エネ効果の算定が可能となり,省エネ率は夏季より冬季が,温暖な地域より寒冷な地域が大きい可能性があることが明らかとなった.本稿の成果は港湾の意思決定者がルーフシェード導入の事前評価を行うための有力なツールとなるため,世界の港湾の省エネ・脱炭素化に貢献することが期待される.