土木学会論文集
Online ISSN : 2436-6021
特集号(水工学)論文
時空間特性を考慮した停滞前線性線状対流系の過去事例における発生・発達条件の統合的解析
仲 ゆかり福田 果奈中北 英一
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2024 年 80 巻 16 号 論文ID: 23-16006

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抄録

 本研究では日本の梅雨期に豪雨災害をもたらす停滞前線性の線状対流系について時空間特性に着目し,過去事例を用いて環境場の解析を行った.その結果,降雨の時空間スケールが大きく前線に付随して発生する前線付随型豪雨は,梅雨前線による強い収束域が外部からの強制力として働き,線状に並んだ積乱雲群を形成すると示された.また,前線から離れた位置に局所的に発生する孤立局所型豪雨は,最初の積乱雲の発生と自己組織的な発達における必要条件が揃った理想的な環境場となる必要があり,必要条件として対流不安定やCAPE,鉛直方向の風向の変化が挙げられると明らかにした.さらに,線状対流系発生時にCAPEと鉛直シアのバランスが一定であることが,特に孤立局所型豪雨の発生・発達において重要な意味を持つと示すことができた.

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© 2024 土木学会
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