2024 年 80 巻 16 号 論文ID: 23-16018
河床材料が砂礫で構成される河川において自発的に形成される砂州に関する研究は多いが,その発生機構の物理的解明には至っていない.本研究では,単列砂州の形成時の底面と水面をStream Tomographyにより計測したうえで,流速を平面二次元解析により計算し,移流と拡散の比であるPeを算出した.その結果,Peと底面の幾何学形状の間には密接な関係があり,また,Peのx成分のヒストグラムは二峰性を有することがわかった.特に,砂州の形成初期では条件によらず一定の値でヒストグラムの分布が変化していた.以上のことは,砂州の形成過程における大きなPeは砂州の移流が拡散に勝り,この均衡関係により河床波の波高が発達することを示唆し,また初期のPeによって砂州の発生を分類できる可能性を示す.