2024 年 80 巻 16 号 論文ID: 23-16103
本研究では,中国地方一級水系の高津川水系を対象に流域網羅的にすべての魚類の環境DNA濃度を明らかにし,魚類多様性指標を算出した.さらに,魚種数・Simpson多様度指数と生息場の環境要因との関係から,高精度のGLMモデルを作成した.それぞれの多様度に影響しうる環境要因として,魚種数においては水温・河床勾配,Simpson多様度指数においては水深・流量・水温・水田割合に相関があった.魚種数は水温と強い正の相関,Simpson多様度指数は流量と強い負の相関が確認され,河川下流で相対的に魚種数が多く,Simpson多様度指数は河川上流でも高くなることが示唆された.さらに,GLMの結果を基に流域網羅的な魚類多様性のポテンシャルマップを作成し,流域スケールでの魚類多様性の分布を可視化した.