2024 年 80 巻 16 号 論文ID: 23-16106
魚の遡上が困難なダムや堰には魚道を設置することが望ましい.魚が魚道を遡上する条件として,魚道入り口への集魚および魚道内で滞留あるいは降下せずに速やかに通過することが求められる.一般に,魚は気泡を忌避するが,本研究ではこの特性を利用して魚道に侵入した魚を遡上に誘発させる条件を模索した.階段式魚道内で気泡の発生位置を変化させるとともに,気泡発生量を0~10×10-3m3/(m2s)に変化させた結果,切り欠きの筋向かいのプール底面に気泡を発生させると遡上を誘発すること,および気泡混入量の増加に伴いその効果が顕著になることが解明された.本研究結果を現地魚道に適用することで,魚の遡上率の向上が期待される.