2024 年 80 巻 16 号 論文ID: 23-16189
本研究は令和元年台風 9号(以降,令和元年台風)と昭和33年台風22号(狩野川台風,以降,狩野川台風)の降雨流出特性に着目して,狩野川放水路の治水効果を評価した.数値実験の結果,狩野川流域では,期間内総雨量が同程度としても約50mm/hの雨が半日以上連続した降雨イベントの方が河道への流出量が大きくなることを示した.狩野川放水路の越流堤による治水機能は殆どみられず,ゲート開閉による治水機能が大きいと推察した.また,狩野川台風時の天然ダム発生時のように狩野川放水路分流地点より上流部での浸水の発生した際は,地形傾斜によって中流部まで拡大し,放水路の治水機能が十分に機能できないことがあった.そのため,上流部での治水機能の向上,そして本川の整備の重要性を示した.