2024 年 80 巻 17 号 論文ID: 24-17001
本研究では,波の反射と透過,および遡上を主な対象として,波の基礎理論である水平床上の線形長波理論,減衰定常波を含む水平床上の微小振幅波理論,および一様勾配斜面上の線形長波理論の概要を記述し,それらを用いて階段状斜面や複合勾配斜面での波の解析解を導いた.斜面での反射や透過は波長,水深,斜面勾配によって変化するものの,解析結果より,斜面を延長した仮想汀線からの離岸距離と着目点での波長との比という単一の無次元数に支配されることを示した.また,津波などがある水深から斜面を遡上する場合,周期の平方根に逆比例して増幅率が増大することを示した.さらに,これらの理論によって諸現象を定性的に理解すると,数値計算やAIから得られる結果を吟味するのに役立つことを例示した.