2024 年 80 巻 17 号 論文ID: 24-17039
本研究では,建物を考慮した高潮浸水サブグリッドモデルであるiDFMにおいて,質量保存則に建物内部へ浸入する水体積項を追加した.格子内占有面積率を約40%,25%,20%となる様に建物を整列させた簡単な都市地形による理想化数値実験(解像度30m)を行い,開発前後のiDFMにおける浸水特性を比較検討した.建物内水浸入考慮時は非考慮時に比べて遡上先端付近を中心に浸水深がそれぞれ平均36.6%,36.5%,6.18%減少し,占有面積率が25%以上の場合の浸水深の感度は大きいことがわかった.東京都沿岸部において2019年台風19号の擬似温暖化実験を用いた高潮浸水計算で同様の検討を行って,建物内水浸入考慮時は浸水深が平均22.5%減少することを確認し,浸水特性に与える建物内水浸入の影響が示唆された.