2024 年 80 巻 17 号 論文ID: 24-17095
令和6年能登半島地震津波による石川県輪島市舳倉島における浸水域分布及び低標高部での津波被害状況を報告する.携帯型GPSで得られた痕跡位置とDEMの照合によると,島内の浸水域は,防波堤背後で住居等が立地する東部では3~4mに留まるが,無堤区域となる北~北西部で約6~7mと高標高部に達した.全体に,防波堤背後域(東部)では無堤区域(北東部や南西部)より浸水域が狭くかつ低標高となり,防波堤による津波低減効果が確認された.建物被害は北東部や南部で顕著であり,地震による倒壊に加えて,津波による低層階の流失・損壊が確認された.また,舳倉島の海岸は直径約20cmの扁平礫で構成されており,海浜浸食状況と建物被害の関係から,津波波力に加えて,礫の衝突による被害の増大が推定された.