2024 年 80 巻 17 号 論文ID: 24-17133
河川出水による供給土砂を多く含む淡水塊は,海水との混合が弱い場合には濁水プリュームとして沿岸域に移流拡散され,その形態は,気象・海象条件とともに,河口での塩分濃度に依存する.本研究では,河口境界での塩分濃度による濁水プリュームの挙動の相違について数値計算を行い,浮遊泥の輸送形態について検討した.著者らによるWDM-POMを用いた計算から,浮遊泥濃度分布は塩分濃度分布に比べてプリューム中央付近で高い値を示し,流れ場は,河口塩分濃度が低い程,とくに塩淡フロント近傍において密度一様計算との流速差が大きくなる.計算領域全体では,平均流速値として最大8cm/sの差異が生じた.従って,河口境界での塩分濃度を精確に与えるか,非感潮域まで境界を広げた計算を行なうことが必要であることがわかった.