2024 年 80 巻 17 号 論文ID: 24-17142
気候変動に伴う海面上昇によって,砂浜の大きな地形変化が予想されている.しかし,その予測は修正Bruun則等を用いた汀線変化の考察に留まっている.そこで,本研究では汀線から砕波帯沖側までを含めた平面的な地形変化を精度良く再現するために,XBeachのSurface Roller Energy (SRE)のソース項を修正し,バーから汀線までの地形変化への影響を検討した.静岡県浜松篠原海岸を対象として約7ヶ月間の地形変化計算を行った結果,汀線付近から沖側のバー地形の変化までを精度良く再現できた.特に,SREの散逸項を水深に依存した可変値とすることが地形変化予測精度向上に有効であることが確認でき,今後想定される海浜消失に対する適応策を構築する上で,有効なモデルが得られた.