2024 年 80 巻 17 号 論文ID: 24-17169
東予港では,台風等の擾乱後にシルト質の土砂が航路に堆積していることが確認されている.本研究は,深浅測量結果や波浪・河川流量データ等を解析するとともに,航路堆積が生じるプロセスを数値シミュレーションにより確認した.データ解析では,2018年以降,定期的に実施されている航路断面測量から堆積量の変動を推算し,同期間の波浪・河川流量変動と高い相関性があることを示した.これにより,出水時に河川から流入した土砂が高波浪により沈降と再懸濁を伴いながら航路方向に輸送されることが推察された.数値シミュレーションでは,鉛直方向にシグマ座標を採用した流動・浮遊泥モデルにより2018年台風24号による航路堆積量を定量的に再現した.とくに,河口部で生じる海浜流が航路方向への土砂輸送を促していることがわかった.